2011年10月アーカイブ

第30回「逆鱗の場所」

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平日だというのにオットも会社を休んで入学式に出席するという。
普段の子どもの生活に関わろうとはしないのに、そういった公式行事は欠かさない。
まあ、要するにそういう人なのだ。
式の後、キャンパス内のフレンチで遅い昼食。
校長の話が感動的だったと熱く語るオットを、
業界独特のイディオムに慣れきっている私とムスコは遠い目で見ながら黙々と食べる。

中間試験後の保護者会。
赤い丸が付いている人は、クラス全体会のあと残るようにと担任から指示があった。
赤丸付きは、中等部から来た幼稚舎からの人、
クラスメートから「さん付け」で呼ばれている1歳年上で金髪のいわゆる落生、
スポーツ推薦で入ってきた野球部の人、そしてウチの4人だった。

あああ、やっぱ、やっぱダメじゃん!!!

4人で順番を待ちながら雑談。
落生母はもう数年スパンで開き直りモード、
でも2年連続で同じ学年は居られないので今年はなんとしても進級してもらわないと、
友人から過去問やレポートをもらっておくといいわよ~なんて仰る。
スポーツ推薦のお母さんは三重県から泊りがけで保護者会に来ているのだそうだ。

担任のA先生と、中学での様子や今後の高校生活について話し合う。
さすがに150年続く老舗の一貫教育校だけあり、
縦の連携、情報共有がしっかりなされていると感じた。

「今まで不登校気味のお子さんを何人も見てきましたが、
ほとんどの子が親子、とくにお父さんとの関係がうまく築けていなかったのです」
先生はそう言った。

家に帰って、そう言われたことをオットに伝えた。

「俺が悪いといいたいのか、お前は?」
彼はそれだけ言うとパソコン部屋に入ってしまった。

そんなある日、パソコン部屋のPCでネットつながりの人との連絡用に使っている
ウェブメールを開くと、フォルダに見覚えのないタイトルがずらーーーーーっと並んでいる。。。

??????

よく見たら、アカウントがわたしのじゃない。

そういえば、数ヶ月前にオットからウェブメールの登録の仕方について聞かれたっけ。
家からだけじゃなく外のパソコンからもメールができるのかとか、
セキュリティは問題ないのかとか。

「自分で調べろ!」と心のオクで思ったが
私が使っているウェブメールを例に質問にはきちんと答えた。

「これからはウェブメールにすることにしました」
「外出先でも連絡でき、セキュリティ面でも安心です」
なんて送信があったり

「主人にバレないかしら」
「昨日はずっと一緒で嬉しかった」なんて受信があったり。

1年前に別れたはずのフクヨじゃねーか。

私やムスコが指示どおりにしなかったら鬼のように怒り狂うオットが、
やると言った事は必ず実行する意思の硬いオットが、
自分で勝手に公約したことを破るはずがないのに。

呆然としながら読んでいた私のハートに突然火をつけたのが、
ムスコが不登校気味になりカウンセリングを受けていた頃のことを
「オクさんは子どもの気持ちがわかっていない」だの
「家庭で安らげない貴方がかわいそう」
とフクヨがぬかしていたことだ。

韓流ドラマの主人公のごとく、安っすく酔って、乳繰り合っていることなど、どうでもよい。
私の領域に踏み込んだことは絶対に許せなかった。




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オバケット

プロフィール

叶口 すず
(かのぐち すず)
1960年生まれ。
横浜市内勤務
湘南で生まれ育ち、都内の大学卒業後、横浜で就職、結婚、子育て。数十年の回遊後、再び湘南海岸に。


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