2010年7月アーカイブ

一旦停止における女脳

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ダンナの送り迎え奴隷生活が続くりんこです。
奴隷は道も分ったし、もう高速の合流も大丈夫だし、
4車線の車線変更もこなせます(^^)v
習うより慣れろ!とはこのことかもしれません。

まあ往復2回で6時間になってしまうので、ダメージは相当きつく、
半分省略しようと思い付き、時々はダンナをホテルに監禁することにして、
すご~く楽になりました!
単身赴任のダンナさんを持つ友人が「パラダイス!」という
意味が分るような気さえします。

都心を運転するのも大分慣れ、
田舎道専用運転手もそろそろ返上かと思っているのですが、
しっかし、一個だけ自分にとって難しい技があることを発見しました。

それは「一旦停止」
道路に書いてある「とまれ」の文字ですね。

ダンナは運転に関しても、小うるさいですから、自分が運転していて、
前の車が一旦停止を無視しようものなら、大喜びでこう言うんですよ。

「女だろ↑」
そして勝ち誇ったかのように、こう続けます。

「なんで女っていうのは一旦停止をしないかな?」
アタシから見たら、その女性の運転は十分減速して「とまれ」に差し掛かっているので、それは止まったも同然。
止まっているようなもんなんだから、むしろスピードを上げて、
サッサと行ってくれ!状態なんですが、ダンナの意見は全然違います。

「それは止まったとは言わない!」
ダンナの「とまれ」見本はこうです。スピードを上げて突っ込んで来て、
ブレーキ性能を確かめるがごとく、停車線ピッタリに止まる。
これぞ「とまれ」の正しい止まり方なんだそうです。

アタシには歩行者に対する嫌がらせにしか見えませんが「とまれ」を見るたびに、
もう何万回もウンチクを垂れるので、
最近では5時になると鳴る「夕焼け小焼け」の放送のように、
聞き流しておる次第でございます。

こういうときに「まあ、あなたってすごいわ!停止線、ピッタリに止めるなんて、
なんて運転技術があるのかしら、男らしい♡」なんて言えれば、
アタシ達夫婦ももっと別の道を辿れたかもしれないんですが、
アタシにしてみたらBGMですから「ふっ、また言ってるよ」という呆れ顔も、
最早しなくなりました。

で、です。
アタシは自分は出来ていると信じていたんですが、
アタシに限っては停止線できちんと止まっていると思い込んでいたんですが、
最近、ダンナを乗せて運転することが極端に増えたもので、
指摘されるまでは気が付きませんでした。

ダンナ曰く「アンタは停止線で止まらない!」
アタシは止まっているつもりなんですよ。
しっかり減速して、そのラインできちんと一時停止しているつもりなんですが、
なんて言うんですか?なんか、微妙に動いているっていうか、
クリープ現象起こしてるっていうか、止まっているつもりなんですが、
ちょっとだけ動いているっていうか、そんな感じなんだということがわかったわけです。

ダンナが「どうせ女だろ↓」と言う運転をアタシもしているということであります。
要は、ダンナが強調する「そこで止まるんじゃなくて、もっと手前で一旦止まる!」
ということなんですが、停止線は交差点のちょっと手前に書かれていますよね。
そこで「止まる」のは正しい道路交通法なんだと思うんですが、
そこで止まっても、交差点から出てくる対向車は見えないので、
安全確認のため交差点ギリギリまで恐る恐るノロノロと出ていくじゃないですか?

そこで、アタシの運転は、「とまれ」の停止線でなんとなく止まるような、
止まらないようなスピードで、そのまま通過し、交差点までヨロヨロと出て行き、
そこで完全に止まるっていう運転をしているんだそうです。

「女はみんなそうだ」という暴言を吐いているのはウチのダンナですが、
そう言えば、一旦停止で止まらないわ、ウインカーを出さないわっていうのは、
ダンナの暴言を聞くまでもなく、圧倒的に女性に多いのは認めざるを得ない気もします。脳の違いなんですかね?

アタシはいつもダンナに「あの人は止まっているつもりなの!」と
一旦停止無視のオバサンをかばったりするんですが、
自分もそうだとなると気を付けないといけません。

それにしても、助手席のダンナはうるさいです。
高速の合流地点になると命の危険を感じるからでしょう。
叫ぶようにこう言います。

「スピード上げて、上げて、上げて!!!!!(アクセル)踏め!踏め!踏め――――!!!(絶叫)」

毎回、こうですから、まあ、たまたま、その高速に居合わせた
車の運転手さんには気の毒ですが、アタシも命がけっちゃぁ、命がけの運転であります。
あ~、もう疲れてきた。たこゆき、おめ~の骨折、いつ治るんだよ!?



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柔ちゃん

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あっし、こないだの参議院選挙なんだけど、
ウチの足の悪い人を抱えて、期日前投票をしたんだよね。

でも、投票するとき「ハタ」と考え込んで、
何処に入れようか、ものすごく悩んだんだ。
だって、入れたいとこがない!

入れたいとこがない国って、どうなの!?とは思うが、
この国に住んでいるから仕方ない。

ものすごーく悩んでいたから、待ちくたびれたダンナが怒っているだろうと思ったら、
ヤツも延々悩んでやがった。

で、あっしは個人的には三原じゅん子さんが
子宮頚がん撲滅運動をしてるって聞いたから、
三原さんには勝って欲しかったんだよね。
(でも、アホだから、個人名を書いていいなんて知らなくて、
あの人は東京の人が書く権利があるんだって思い込んでいた。
あ~、無知って嫌!)

で、結果勝ったから良かった良かったなんだけど、
子宮頚がん予防ワクチンが助成金で安くなるまで待とうかなぁなんて、
不行き届きなことを考えるあっしなのだ。
だって5万円だって言うし・・・。
友だちには娘の命が5万円ぽっちで救われるのに、
どんだけケチなんだ!?って呆れられたけど・・・。

みんな、女の子を持っている母たちはどうしてるのかな?
で、母たちも受けるのかしら?もうやっても無駄なんだろうか?とまた悩む。

目下の悩みは息子に赤ちゃん以来受けていない麻しんを
再接種するのかってことと、
娘に子宮頚がんのワクチンはどの時点で打ってあげるのかっていう、
ちっちゃいことなんだが、あっし、そう言えばこれをもう延々悩んでる。

ホント、こういうところも、まったくと言っていいほど、決断力がないよなぁ。
政治家に必要なのは決断力っていうけど、
まったく、そういう意味でも政治家にはなれないやね~。

それで、三原じゅん子さんと言えば、ライバル関係なの?
柔ちゃんなんだが、世間はいろいろ言っているが、
あっしは一言で言えば「偉い!」って思っていて、
すごいなぁ、すごいなぁって感心している。

あっしならば、プロの野球選手の妻になった時点で、
自分が何十年も一筋でやってきたものも、
事実上、続行するなんて無理!と思って、
諦めちゃうだろうなぁって思うんだよね。

で、一人目の赤ちゃんが生まれた時点で、
例えプロ野球だろうが、なんだろうが、
ダンナを支えるというお仕事は引退。
ダンナが嫌がろうが、何だろうが赤ん坊に専念するということになるよなぁ。

で、2人目の赤ちゃんが生まれた段階で、ダンナのことはすっかり忘れ、日々、
ガーガー怒鳴っているだけの母になるんだよなぁ。

その時点で、どんな偉いさんが来ようとも、
立候補なんて無理だし、ましてや当選後に乳幼児抱えて、
世のため人のためになんか、我が身削られるかっ!
って怒っちゃうと思うんだよなぁ。
ホント、器、ちっちぇー。

それに比べて、何役もこなすなんて!
それが、なんもかも一流と呼ばれるレベルなんだもんなぁ。

一昔前は、家庭か仕事かの二択を迫られるのが女の常だったけど、
これからはひょっとしたら、そんなことは時代錯誤もいいとこで、
女は仕事も家庭も育児も公への奉仕活動も
すべてをメインにやっていこうっていう時代に入ったのかもしれない。

先駆者はいろいろと言われてしまうんだろうが、
でも、どれも捨てない人生って、
それだけ自分にはプレッシャーで大変だろうけど
「有り!」ってことを彼女が示してくれるかもしれないよね。

ってなことを奴隷生活をしながら、
あたしゃ、甘ちゃんだぜ!と思いながら感じておりました。

あっ、皆さまにご心配をいただいております、
たこゆきの骨折に伴う奴隷生活ですが、今日からホテル暮らしをさせましたの!
おーほほほ、アタクシ、束の間のバケーションIN自宅ですわ~!(幸せ)



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百年に一度の傑作が飛んだ

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なんてことだろう。
気を付けていたのに!徹夜で書き上げたのに!
そういうときは必ず「上書き保存」をマメにしなくちゃ飛んで行くってことが
わかっていたのに、いや、だからこそ、やっていたのに、やったはずなのに
何故?何故?何故、ない???

アタシの百年に一度の傑作だったのに!
もう二度と書けないくらいの名作だったのに!
消えた・・・。
跡形もなく消えた・・・。

たこゆき(ダンナ)がここぞとばかりに囃したてる。
「だから、あれほど言っただろう?保存はマメにしておけ!って。
俺様なんかは、そんなこともあろうかとマメにバックアップは取ってあるから、
俺様に限ってはそんな阿呆でもやらないようなミスはやりようがないんだが、
りんさんだから、あり得るよな。
アンタなら仕方ない!俺様とは違うからな!がっはっは。
まあ、消えたもん、仕方ないな、諦めろ、自業自得だ!がっはっは」

くそー、コイツ、奥方さまに何の恨みが!?

ああ、でも惜しすぎる。名作だった!確かに名作だった!
あんな名作、百年に一回しか書けないのに!
ひどい、ひどい!神様はアタシにもう百年、生きろとお言いで?

ぎゃーぎゃー吠えた。
近年ないほど、ぎゃーぎゃー吠えてみた。
だって悲し過ぎたから。

そしたら、アタシが生んだ可愛い可愛い長男がやって来た。

「どうした?」

泣きながら(←ウソ泣き)長男に訴えた。

「消えた!百年に一度の奇跡の文章が消えた!」(号泣←ウソ泣き)
「おら、ちょっとどいてみろ。みてやるから」

さすがコンピューターの申し子!
天才的ゲーマー!
ここまで時間もハードもソフトも投資しまくった理由はここにあったのね!?

この消えた文章を、百年に一回の傑作を、元通りにできるのね!?
あ~、たこ太!あなたは素敵なママのドラえもん!!

ドラえもんがガタガタ何かやっている。

うししー。たこゆきめ、ばーか。オマエが居なくたって、
たこ太ちゃんがいるからアタシはジェンジェン困らないんだよーだ!
ふん、嫌味をそこで抜かしておけ!ほざけ!
今すぐ、百年に一回の文章を見せてやるわ!がっはっは。

ドラえもんが振り返って言った。

「ダメだ、こりゃ」

「そんなことはないやろ~?天才的ゲーマーに出来ないことはないだろう?
やれるよね?元に戻せるよね?ね?ね?」

ドラえもんがこう言った。

「無理なものは無理。全く形跡すら残ってない!」

ええーーーーー!!!???

たこゆきが「ほれ見たことか!」と大笑いしている。

ええーーーーー!!!???

ああ、百年に一度だったのに・・・。

というわけで、原稿が消えましたことを編集者さまに謹んでご報告申し上げます。

もうダメ・・・。寝こもう・・・。



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いろんなアタシ

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今は奴隷の%が高いアタシですが、いろんなアタシがいることに気が付きます。

当然ながら、母としてのアタシ。
学校の役員とか面談に行くとかも、これに入ります。
娘を駅まで送り迎えしたり、ブラウスにアイロンをかけたり、
お弁当を作ったり、そんな母として行為を当然のように要求されるアタシがおります。

次に主婦としてのアタシ。
洗濯したり、お風呂掃除をしたり、ゴミを捨てたり、ご飯を作るアタシですね。
いわゆるハウスキーピングの分野です。
これが滞ると、家族の集中砲火を浴びます。
汚す人が4人+1匹なのに、片付ける人間はひとり。
まったく割合が合っていません。
よって、雪だるま式にやるべきことが増え、
もう今となっては、どこをどうしたらいいやら状態で、
とりあえず優先順位に従って、どうにか回しているって感じで、
この分野、ものすごくストレスを感じます。

その次に仕事というのか道楽というのか、
個人として責任を負っているアタシです。
これはプレッシャーが強い部分なので、バランス感覚が問われる分野です。
まったくうまく起動しておりません。
なんか先天的に欠陥があるのかと思ってしまうこの頃です。

そして妻としてのアタシですね~。
あんましこの部分はクローズアップして考えたこともないので、
今の奴隷生活に辟易しています。
もし、事態が逆転していて、アタシが骨を折っていたら、
多分、ダンナは一日の内の4分の1に当たる自分の時間を潰してまで、
送り迎えをするようなことは一切ないと思うんですが、
この辺がね、「だってアンタ暇じゃん!」という一言で
当然のようにされているのが「なんだかなぁ」ってところです。

これらに娘としてのアタシがいます。
母の病院に付き合ったり、ひとりでは出かけられない人の
付き添いやら用事やらをこなさなければなりません。
母にしてもいちいち頼まねばならないという生活には嫌気がさすだろうから、
なるべく嫌な顔をせずに頼まれたら、即答で引き受けねばならないのですが、
これに母の愚痴を延々聞かなければならないという
「聞き役」としてのアタシも重要なお仕事であります。

今は奴隷として、病院にも付き添いで行っていますが、
子どもがやっと病院にもそんなにお世話にならずに済むようになったと思ったら、
今度は親が病院にお世話になるようになって(ダンナは誤算ですが)、
女って自分の病気でもないのに、病院との付き合いも全然、
縁が切れないもんだなぁってため息が出ますね~。
これは病院での延々の待ち時間が、
昔から、なんだか本当に無意味な時間に感じてしまうことが原因です。

でもまあ、アタシは「嫁としてのアタシ」を何もやっていないので、
お姑には本当に申し訳ないのですが、まだ恵まれていますよね。

誰かのために生きている、誰かに必要とされているという自分は
ありがたいと思わなければならないのでしょうが、
他ならぬ家族のためとはいえ、なんだか本当に疲れてきた最近のアタシなのであります。

なんかこーゆーときに、女は不公平だなぁって思ったりします。
例えば、ウチの兄なんかは、仕事する自分しかいないので、
息子である自分っていう%はほとんどないですし、ウチのダンナも同様ですね。
自分は自分であって、いろんな自分はいないっていうんですかね。
まあ、そうしないと家族が生活できないってことが一番なんですが、
なんか、そんな矛盾を感じたりもするわけです。

でも女たちは、みんな、こんな愚痴も言わずに日々、
元気に明るく頑張っているというのに、
アタシだけこの体たらくで情けない限りであります。

やばい、本当に疲れてきた・・・最近のアタシ。

何が悪いってたこゆき、おめ~のせいなんだよー!!(怒)



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あー、もう、この奴隷生活、どうにかなりませんか!?

今日のあっしの暮らしぶりをご紹介しましょう。

朝起きる→睡眠時間が少なかったので結構フラフラ→
朝早くから爺さんよろしく起きていたダンナが「朝ごはん!」を主張する→
仕方なく作って食わせる→

出かけるまで時間がないが洗濯物を干しまくる→
このクソ忙しい中、ダンナが「髪を洗いたい!」とグズる→
なんであっしがこんな目に!と思いながら、洗ってやる→
うっそー!もう時間がないやん!と化粧を始めるが、この紫外線!→

なのに日焼け止めを塗るのを忘れる→バタバタと走って駅へ→
遅刻ギリギリで娘の学校に到着→
文化祭準備のため、死ぬほど嫌なビーズ作りが開始される→延々、紐にビーズを通す→
途中でビーズが床に転がる→ギャーギャー言いながら拾う→
ダンナの病院があるため平身低頭しながら途中退席する→
病院受付締め切り時間を気にしながらダッシュで駅の階段を走る→
駅から家まで猛スピードで歩く→

ダンナを車で病院に連れて行く→駐車場が満杯→ダンナを残して、一旦家に帰る→
ダンナの診療が終わり、迎えに来いと呼び戻される→
家の前に不法駐車をされていたので立ち往生する→
「どうしても冷やし中華が食いたい!」と抜かしたダンナのためにちゃりでスーパーに行く→
全力で戻る→洗濯物をしまう→

犬の散歩をする→近所のオバちゃんに捕まる→
家に着いたと思ったら、遊びに出掛けていた娘からお迎え要請コール→
車で駅まで迎えてやる→お腹がすいた!と抜かしやがるダンナと娘に作って出す→
今日こそお風呂に入りたい!と抜かしたダンナのためにお風呂の支度をする→
ダンナの足をビニールで縛るお手伝いをする→ダンナの入浴を手伝う

大体、こんな感じで一日が暮れたが、この間にも「ティッシュをくれ」だの
「ドライヤーを持って来い」だの「牛乳を取ってくれ」だの「ないなら買いに行け!」だの、
動けない人の用事をこなすのは容易ではない。

しっかし、ヤツは明治時代の男かと思うほど「痛い」とは言わない。
手術直後に医者に「痛いでしょう?」と言われたときも「痛くない!」と言い、
医者に「痛いはずですよ!」と言われても「痛くない」と言い張った。

あっしが「痛い?」と聞いたら「痛くない!」と言いながら、
一言、「痛み止めはどこだ?」と抜かしやがった。

今も「痛くない!」と言い張るが、夜中に寝言で痛そうな声を出していて、超迷惑である。

面白かったのはナースが痛み止めの座薬を親切で入れてくれようとしたのに、
頑なに断ったのだ。
手術直後なので水分が口から取れずに、痛み止めはお尻から入れるしかなかったのであるが、見事に断りやがった。

そこでナースが「じゃあ、奥さんに入れてもらいましょう?」と提案したが
夫婦で「ご冗談を!」と言い合って、結局、お尻座薬は使わなかった。

トイレ用にわざわざナースが尿瓶を用意してくれていたのに、断固として使おうとしないので、ナースがこう提案した。
「じゃあ、奥さんにやってもらいましょう!」
夫婦で「ご冗談を!」と言い合って、結局、尿瓶は使わなかった。

それならばと、病室にあるトイレに車いすで連れて行ってくれたナース。
自力でトイレに入ろうとするダンナに、ナースも続いてトイレに入ったが
それを押しとどめたダンナ。

ナース、こう提案した。
「それでは、奥さんに手伝ってもらいましょうよ!」
頑なに拒否したのはダンナだった。

ナース、どんだけ不仲な夫婦だと思っただろう。

ああ、あれから早1週間。奴隷生活にも飽きたな。

ところがだ、ダンナがこう言った。
「そろそろ会社に行かないとだから、車よろしく!」

ええーーーーーーー!!!???

あっしに高速、運転させて、あげな遠いところまで毎朝、送って行けと?

奴隷の上にタクシーの運転手にさせる気、満々じゃねーか。
月曜になるのが怖い・・・。


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そしてたこゆきはストレッチャ―乗せられて、手術室へ運ばれます。

手術室に入る直前の扉って、不思議ですよね。
なんか結界があるっていうのかな、この世とあの世の境っていうのか、
家族でありながらも、その向こうには付いては行ってあげられない、
本人だけが、ただひとりで、その戦いに立ち向かわなければならない
「瞬間」を分ける扉のような気がします。

あっしは「こちら」から、ただ見送っていたのですが、
手術室は何部屋かあるみたいで、すぐ後に男の人が手術室に送られて行きました。
見送るお婆さん。もう滅茶苦茶泣いていて「お父さん、お父さん」
ってうわ言のように言っています。

「行ってらっしゃーい」とさわやかにバイバイした、あっしとのこの違い。

そう言えば、ウチの母も父が肺がんの手術に向かう直前は、
何とも言えない不安そうな顔をして見つめていましたね~。
あの時は、子どもも婿も嫁も全員で手術の終わりを待っていたので、
母はそれだけが救いで、どんなに心丈夫だったかと言っておりました。

泣いているお婆さんがあっしを見つめます。
「きっと大丈夫ですよ!」とあっし。
お婆さん、「ありがとう、ありがとう」と繰り返しました。
お婆さん、手術になったお爺さんのこと、
本当に大切に思っているんだなぁってじんわりきました。

今は、手術は家族にとってもすごく便利になっていて、
家族用待機室もあるんですが、携帯電話を持たされて、
手術が終了するまでは院内の何処に居てもOKというシステムなんですね。
「手術が終わったら、電話しますから、それまでは何処に居てもいいですよ
」と言われます。

そんなこんなで1時間50分くらいですかね
「終わりました」とアッサリ言われて、お迎えに行きました。
ドクターの説明が始まります。
なんやよくわからんでしたが、ボルトを6本ほど足に打ち込み、
鉄板を入れて補強したと。後は、医学用語満載で耳が閉じてしまったので、
とりあえず成功したってことだけを確認します。

ドクターが言うには、左側もやらなくちゃダメかと思っていたが、
右側だけでどうにかなった(どうにかの部分を詳細に説明されるが意味不明)ので、
すごくラッキーであったってことで、よかったねって言われました。

長い説明だったんですが、結局、殆どがよくわからなかったので、
何か質問は?と言われて、あっしは自分で本当にアホだなって思ったんですが、
質問に選んだのが「空港でビービー鳴るか?」ってことを言っちゃったんです。
他にもっと大事なことがあるんじゃないかと思うんですけど、
このアホな頭はしょーもない質問しか思い浮かばないんですよね。

でもドクターは真面目に答えてくれるんですよ。
「なんでだかはわからないけど、鳴る人と鳴らない人がいます」って。
「大抵の人が異物が体に入っているのを嫌って、
一年後に鉄板取っちゃうんですけどね。入れっぱなしでも構いませんけど」
で、あっしはまたアホをさらけ出します。

「あのぉ~?それはどのようにして取るので?」
ドクター、ここで何故か大笑いです。
「手術です。薬を飲んだら、溶けるとかいう類のものではないんで!あっはっは!」
このドクターにはコイツは相当頭が弱いと憐れみをかけられていると思います。

そんなこんなで、たこゆきが手術室から出てきました。
今は全身麻酔でも、すぐに目覚めるんですね。
一言二言ですが、しゃべることが出来たので、びっくりしました。

しっかし、これからがあっしの奴隷生活の始まりだなんて、
手術が物珍しいだけだったあっしには思いもつかないことだったのです
(しつこく続く)



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ってなわけで、たこゆき(ダンナ)が緊急入院しました。
事務の人が言います。
「大部屋でいいですね?」
どっから見ても貧乏そうにしか見えない夫婦なもんで、
そう気をが利かせてくれるのは無理ないっす。

たこゆきは言います。
「いえ、個室で!」
鼾という轟音が他人さまのご迷惑になるとの自覚があるからでございますね。

「じゃあ、個室Bですね?」
どうも個室にはAとBがあり、Aはより上客用らしいです。
当然、事務の人、貧乏人用に気を利かせます。

しっかし世の中にはお金持ちが多いんザマスね~。
差額ベッド(個室代)は一泊1万以上するんですが、なんと結論はAもBも満室です。

仕方なく、渋々、大部屋を了承したたこゆきですが、
行ってびっくり、そこは個室でした(つまり大部屋に住人はたこゆき一人)。

お医者さんが病室にわざわざやって来ます。
「ってなことで、何度も言ってますが手術になりました。全身麻酔にしますか?
部分麻酔にしますか?」
生まれてこの方、入院なんぞしたこともないたこゆき。
当然、手術も初めてです。麻酔と聞いただけで目が泳ぎそうです。

あっしが恐れながらと聞きます。
「あの~?先生が骨折したとしたら、どっちになさるんで?」
これがね、なんつーか若くて30代前半かなぁ?っていう感じの結構イケメンの先生なんですよ。あっしがするんじゃないから、どっちでも良かったんですが先生とお話したい一心で聞くあっし。
「僕だったら、迷わず全身麻酔ですね。まず半身麻酔は背中から針を入れるんですが、
それが僕にはまず無理です。痛いしね、見えないから怖いしね・・・。
全身麻酔にする理由は他にもありますよ。骨折の手術って、いわば工事なんですよ。
ドリル使って穴を開けるのと一緒ですから、道路工事並みの音が出ます。
そんな音、いくら麻酔してて痛くないからって正気で聞いていられませんよ、普通。
僕なら耐えられません」

ここまで聞いて、恐れをなしたたこゆき、迷わず全身麻酔を希望しました。
「後で、麻酔医が説明に来ますからよろしく!」って医者は帰って行きました。

それからが大変ですね。
薬剤師はしつこく服用薬の詳細を聞きにくるし、
麻酔科医は麻酔科医で詳細を説明しに現れます。
忙しいでしょうに、まったくご苦労さまです。

今の医療はなんですね~、説明を聞いたら、いちいち、サインしないといけないんですね。
「万一のときは死ぬかもしれないって説明されたけど、了承したびょーん!」
っていう書類にサインするんですね。

あっしは、ウチの犬が子宮摘出手術をしたときに
「これで死んでも文句を言わない」っていう紙にサインをしたことがありますが、
人間もそうなっているんですね~。

医者が言います。

「じゃ、明日、朝2番で手術しますから、奥さんは10時には待機しててください」

はい?奥さんが待機?あっしが手術するんじゃないのに?

「奥さん、全身麻酔なので、ご家族の待機は必須です。
手術前と直後には手術室の前に居ていただきます」

ええーーーーーーー!!!???
あっし、明日はスゲー大事な仕事があんだよーーーーー!!!
マジかい!?

「あっしは奥さんではありません」と逃げようとしましたが
「これこれこれを術前に必ず持って来るように」と言い渡されてしまいました。
万事休す。

とりあえず娘に聞いてみます。
「あのさ、お父さん、入院したけど、これから見舞いに来る?」
「試験前じゃなかったら行ってあげたのに(だから、ダメ!)」
息子にも聞いてみます。
「あのさ、お父さん、入院したけど、これから見舞いに来る?」
「俺が行ってどうなる?」
誰だよ、こんなあったかい子たちに育てたのは!親の顔が見たい!!
くそー。見舞いにも来ないヤツに手術の付き添いなんて絶対、無理だよな。

しっかし、全身麻酔は稀に一生目を覚まさないとも聞くからなぁ・・・。
実母が騒ぎ出します。
「全身麻酔で手術ですって???大変だわ!!母も行きますっっ!!」
あのね~、お婆さんが再び転んで顔から大量出血したって言うから、
全ての日程をキャンセルして見舞いに行ったのが一昨日ってことを忘れたんかい!
自分が包帯だらけのくせに、包帯だらけの婿を心配している場合かっ!!
ったく、ウチは一体、どうなっとんだい!?お祓いか?お祓い?
頼むから、アンタ(母)は家でおとなしくしていて頂戴!

とりあえず、仕事先には平身低頭して、日程延長のお願いをさせていただきます。
さも当然のようなダンナ。
あっしが入院しようが、どうしようが、仕事をキャンセルなど、
考えもしてこなかった、たこゆきなので、
夫婦と言えど恨みがましい気持ちになるのは心の狭いあっしだけでしょうか・・・?

まあ、いいです、手術も興味あるし(そこかい!?)。
「で、治るんですか?」と素直に聞いたあっしにイケメン先生は言いました。
「そりゃ治ると言えば治りますよ。でもね、医者は魔法使いじゃないんですから、
所詮、レントゲン以上のことは出来ませんよ。
こんだけグチャグチャになっているのを、なかったようには出来ません」

たこゆき、見る間に凹んでいきました。(続く)



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今、アタクシは大変ザマス。
たこゆき(ダンナ)が足首を折りやがりましたの。

ええ、ええ。もちろん誰が悪いわけじゃありませんわ。
自爆ですもの。
波打ち際でボードから降りようとしただけなのに、派手に折りやがりましたの。
どーしたら、そんなことでポッキリといってしまうのか、意味分からん。

あったま来たから、お姑に言いつけてやりましたわ。
「お宅の息子さんが骨を折りやがりまして(超迷惑なんですけどぉ)!」
お姑、肝が据わっていますから、全く動じず
「内臓の病気とかじゃないから、足くらいええで~。
今更、嫁入りでもあるまいし、五体不満足で結構、結構。
迷惑かけるけど、頼みますね!」と涼しい顔です。

まあ、折ったもん、仕方ないザマス。

まず海から運んだザマス。
ここらの海は夏の間は商売繁忙期で、
ビーチに面した駐車場はどこも全部有料2000円なんですが、
管理人のオジちゃんはやさしかった。

「怪我した人の家族?いいよ、いいよ、入りな!
ここからグーッと近付けるところまで入っていいから!」と言われ、
調子こいたアタクシは砂浜の上に車を出動させたのであります
(ちなみに4WDではない)。

オジちゃん「おい!それ以上行くとタイヤが埋もれて動けなくなる!限度がある!」
って呆れましたわ。
でもオジちゃん、車内が砂だらけになるからって、
大きなビニール袋までくれて最高いい人でした。
ありがとう、オジちゃん!

で、仲間3人がかりで波打ち際から運ばれたダンナはA救急病院送りになりましたの。
でも、あいにく日曜。ドクターは整形外科医でありませんが、
さすが医者!的確な診断。

「まあ、手術は免れませんね~。明日、専門医に診せてくださいね」
ってことでその日は固定して帰ります。

でもって、翌日、同じ病院に朝一番でちゃりで乗り付け、
順番を確保する可哀そうなアタクシです。

で、帰るや、否や、ダンナを乗せて車で再びA総合病院まで向い、
車いすをセットし、ダンナを運び、車を駐車場に運び、戻って、今度は延々待ちます。
ああ、世の中には怪我人がウジョウジョいるんですね~。

やっと呼ばれて「やっぱ骨折決定!要手術!」と言われたところまではいいのですが、
なんと人手不足で手術ドクターがいないので、
来週の月曜まで手術はここでは無理!と突き放されます。

「ええーーーー!!!???」と同時に叫ぶ、ダンナとアタクシ。

ダンナはそれまで仕事が出来なくなる!と慌て、
アタクシはそれまでダンナが家にいるんかい!?とうんざりしたのでございます。

「それじゃあんまりだから、紹介状書くから、B総合病院かC総合病院に行って!
そこならスタッフもきっといるよ」という見切り発車をされ、
その病院を追い出されたのであります。

ええーーーーー!!!???
朝イチで入ったのに、何もしてもらえないまま、もう11時近いんですが・・・。

とにかく、大急ぎで(道に迷いながら)B病院到着です。
「受け付けは11時で終了です」と冷たく言い放たれ、クラクラきました。
そのとき、11時10分。

受付のオバちゃん「紹介状を書いたA総合病院が緊急手術と認めた場合、
こちらにそのドクターから依頼の電話があるのが決まり。
ないので緊急とは認めません」と一点張りです。

A総合病院には人手不足で断られ、B総合病院には時間外を理由に断られるという、
ついていないたこゆきです。日頃の行いか!?

しっかし、アタクシは別に睨んだり、脅したりはしていないのですが、
どういうわけか、ドクターとのお目どおりが許されることになり、
それから再び延々待って、やっと受診にありつけたというわけです。

やっぱ答えは一緒。「即入院、手術」です。

それにしても、日本のお寒い病院事情。
ジジイが末期がんのときにも感じましたが、日本の医療ってなんかわからないけど、
どこかがおかしいような気がするのはアタクシだけでしょうか?
総合病院の過酷なドクターたちの勤務状況をチラ見しただけですが、
なんか、どっかが間違っているような気がします。

そんなこんなで、車いすの押し方に慣れていないアタクシは、
車幅感覚が上手く掴めずに、
痛いほうの足をぶつけてしまうということを数回繰り返し、
そのたびに身をよじるたこゆきなのでした。

わざとじゃないんだが、ごめんよ~。(続く)



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オバケット

プロフィール

鳥居りんこ・・・1962年生まれ。エッセイスト。
ひょんなことから自前のHPに我が子の中学受験体験談を連載。
後に「偏差値30からの中学受験合格記」として学研より出版。
その他著作として「ノープロブレム答えのない子育て」 「本当に聞きたかったQ&A ぶっちゃけどうよ!?」など。
湘南の漁村に住んでいる。出来の悪い子どもの話と夫婦仲がよろしくない話は三度の飯より好きかも。

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